フランスのアネシー湖付近の荘園領主マントン家に生まれたベルナール・ド・マントンは、西暦1050年、スイス、イタリア国境付近の峠に遭難者の救助を目的とした修道院を建立しました。この峠(現在のグラン・サン・ベルナール峠=標高2469メートル)の辺りでは極寒、豪雪、雪崩等により多くの遭難者を出しました。修道院では初め修道士達が遭難者を救助していましたが、やがて地元民が救助にあたるようになり、更に犬を捜索に使うようになりました。このように、犬を訓練して雪山での多くの遭難者を助けたのが救助犬の始まりだと言われています。16世紀に修道院が焼失し、それまでの記録は失われましたが、その後再建され、峠にトンネルが出来る1964年までの間、代々育成されてきた救助犬たちは、少なくとも2,500人の遭難者を救助したと伝えられています。修道士から地元民に伝えられた遭難者救助は、スイスの山岳ガイドの基礎となりました。そのため、スイスではサン(聖人)・ベルナールをガイドの神様と呼んでいます。
なかでも歴史に残る有名な救助犬は、1814年に遭難者がオオカミと間違えて射殺したバリーという名の犬でしょう。バリーは生涯で40人以上の遭難者を救助しました。その後バリーにちなみ、この犬種はバリー・ハウンドという名称で呼ばれてきましたが、1828年にセント・バーナード(サン・ベルナールの英語読み)・ドッグと改名され現在に至ります。現在のセント・バーナード・ドッグは殆ど長毛種ですが、雪の中で活躍するには短毛種のほうが良いので、救助犬には短毛種が使われました。 |
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救護所が所有する博物館に現在も展示されているバリーの剥製

写真ご提供:フランスガイド連盟登山ガイド齋藤和英様 |